冠動脈インターベンション時の透視時間に影響をおよぼす因子の調査班

2004年4月〜2006年4月 活動終了したワーキンググループです。

名 称 : 冠動脈インターベンション時の透視時間に影響をおよぼす因子の調査班
班 長 : 景山 貴洋 (千葉県循環器病センター)
班 員 : 今関 雅晴 ( 同 )
    : 武  俊夫 (昭和大学病院)
    : 塚本 篤子 (NTT東日本 関東病院)
    : 高梨  昇  (榊原記念病院)
    : 石川 栄二 (横浜市立大学附属市民総合医療センター)
    : 千葉  弘  (横浜市立大学附属病院)
    : 佐藤 久弥 (昭和大学横浜市北部病院)
    : 大澤 三和 (石心会 狭山病院)
    : 若松  修  (NTT東日本 関東病院)
    : 中澤 靖夫 (昭和大学病院)


循環器装置管理の標準化班

(活動実績)
◆ PCl 時における透視時間に影響を及ぼす因子について
     −透視像の視認性が透視時間に及ぼす影響− : (課題研究)全国循環器撮影研究会雑誌 NO.19 2007年
◇ PCl 時における透視時間に影響を及ぼす因子について
     −透視像の視認性が透視時間に及ぼす影響− : 第20回全国循環器撮影研究会総会・学術研究発表会 2006年4月
◆ PCI 時の透視時間に影響を及ぼす因子の解析 : (課題研究)全国循環器撮影研究会雑誌 NO.18 2006年
◇ 冠インターベンション時の透視時間に影響をおよぼす因子の調査(第1報) : 第19回全国循環器撮影研究会総会・学術研究発表会 2005年4月

(活動報告)
◇ 2005年度



(課題研究)全国循環器撮影研究会雑誌 NO.19 11-14頁 2007年

PCl 時における透視時間に影響を及ぼす因子について −透視像の視認性が透視時間に及ぼす影響−

景山貴洋、今関雅晴(千葉県循環器病センター)
武 俊夫、大澤三和、中澤靖夫(昭和大学病院)
塚本篤子、若松 修(NTT東日本関東病院)
高梨 昇(榊原記念病院)
石川栄二(横浜市立大学附属市民総合医療センター)
千葉 弘(横浜市立大学附属病院)
佐藤久弥(昭和大学横浜市北部病院)

1.目的
 平成17年の報告では、PCI時の透視時間に影響を及ぼす因子としては、第ーに病変形態が上げられ、[BU,C]タイプでは[A,BT]タイプよりも透視時聞が長時開化することが明らかとなった。また、石灰化病変、血栓のある病変、閉塞期聞が3ヶ月以上の病変、汎発性の病変では透視時間が長時間化していた。第二には、ガイドワイヤの挿入、病変拡張も重要な因子であった。ガイドワイヤの挿入と病変拡張に要する透視時間は、透視時間全体の約50%を占めていた。PCIは主に透視像を見ながらの治療であり、透視画像の優劣が少なからず透視時間に影響を及ぼしているのではないかと考えられる。そこで、2年目の研究では、透視時間の調査と合わせ、透視像の評価を術者に対して調査し、透視時間と透視像の関係について検討する。

5.結論
 調査より、ガイドワイヤ、ステントマーカー、ステントの視認性の低下は、透視時間を長時間化させる一つの原因と考えられた。これら治療機材の透視上の視認性が低下することで、透視時聞が0.25〜1分、長時開化する可能性がある。

謝辞:本研究の調査にあたり、ご協カくださいました施設の皆様に感謝申し上げます。



2006.04.08 第20回 全国循環器撮影研究会学術研究発表会 課題研究報告

PCl 時における透視時間に影響を及ぼす因子について −透視像の視認性が透視時間に及ぼす影響−

報告者 : 主任研究員 景山貴洋(千葉県循環器病センター)

【目的】
 平成 17 年度の報告では、冠動脈インターペンション(PCI)時の透視時間に影響を及ぼす因子としては、第一に病変形態が上げられ、BU、CタイプではA、BTタイプよりも透視時聞が長時開化することが明らかとなった。また石灰化病変、血栓のある病変、閉塞期聞が3ヶ月以上の病変、汎発性の病変では透視時聞が長時間化していた。第二には、ガイドワイヤの挿入、病変拡張も重要な因子であった。ガイドワイヤの挿入と病変拡張に要する透視時間は、透視時間全体の約50%を占めていた。
 PCI は主に透視像を見ながらの治療であり、透視画像の優劣が少なからず透視時聞に影響を及ぼしているのではないかと考えられる。そこで、2年目の研究では、透視時間の調査と合わせ、透視像の評価を術者にアンケートし透視時間と透視像の関連性について検討する。

【方法】
 調査は6施設を対象とした。また、調査期間は2005年10月〜2006年1月である。透視時間の調査は、第19回全国循環器撮影研究会学術大会の課題研究報告に準じた。また、PCI 終了時に透視像の視認性に ついて、術者に聞き取り調査を実施した。調査は、ガイディングカテーテル、ガイドワイヤ、バルーンマー カー、バルーン、ステントマーカー、ステント各々の視認性について5段階(1.非常に良い 2.やや良い 3.どちらとも言えない 4.やや悪い 5.非常に悪い)で回答を得た。また、透視像を総合的に見たときの満足度(5段階評価;1.非常に良い 2.やや良い 3.どちらとも言えない 4.やや悪い 5.非常に悪い)を調査した。評価は重回帰分析を用いて、現在、分析を進めている。


【結果・考察】
 PCI 時における透視像において、特にステントマーカーとステントについて視認性の低下を感じている術者が多かった。また、そのPCI の部位としては、右冠動脈のsegment 3から後下行枝、後室間枝にかけて多く認められた。ステントマーカーの視認性は、ステントの位置決めと留置をする上で、また、ステントの視認性は、ステント内の拡張を行う上で重要である。ステントマーカーやステントの視認性が低下 した場合には、ステント留置やステント内拡張に要する透視時間を少なからず長時間化させると考える。



(課題研究)全国循環器撮影研究会雑誌 NO.18 22-26頁 2006年

PCI時の透視時間に影響を及ぼす因子の解析

景山貴洋(千葉県循環器病センター)
今関雅晴( 同 )
武 俊夫(昭和大学病院)
塚本篤子(NTT東日本 関東病院)
高梨 昇(榊原記念病院)
石川栄二(横浜市立大学附属市民総合医療センター)
千葉 弘(横浜市立大学附属病院)
佐藤久弥(昭和大学横浜市北部病院)
大澤三和(石心会 狭山病院)
若松 修(NTT東日本 関東病院)
中澤靖夫(昭和大学病院)


【目的】
 近年、冠インターペンション(percutaneous coronary intervention、以下PCI)の発展は著しく、主にカテーテル、ガイドワイヤ、バルーンなどの改良、手技の向上、薬剤溶出性ステントの普及によって適応範囲に大きな広がりを見せている。一方では、長時間の透視が原因で放射線皮膚障害が発生した事例も報告されるようになった。
 透視時間の長時間化は、さまざまな原因で起こると予想されることから、透視時間を詳細に調査することは放射線被ぱくを低減する上で有意義であると考える。今回の研究の目的は、PCI時の透視時間の長時間化に影響を及ぼす因子を明らかにすることである。

【方法】
 調査期間は2004年8月から2005年2月までとし、5施設のPCI,119症例129病変における透視時間を調べた。透視時聞は、1.コントロールの冠動脈造影(以下、コントロールCAG)、2.ガイドワイヤ挿入、3.病変部の拡張、4.ステント留置、5.ステントの後拡張、6.冠動脈血管内超音波(以下、IVUS)に要する各々の透視時間を調べた。
 調査から施設の違い、術者の症例経験数の違い、病変形態、標的冠動脈、冠動脈解離の有無、IVUS使用の有無およびパイプレンとシングルプレンの違いが、透視時間に及ぼす影響を検討した。病変形態の分類は、アメリカ心臓協会の分類法に基づ いた。また、Bタイプ病変では、その1項目に該当する場合をBTタイプ、2項目以上に該当する場合をBUタイプとした(表1)。
 透視時間は平均値±SDで表した。検定はt検定を用いて、p<0.05を有意差ありと判定した。

表1. 病変形態の分類

【考察】
 調査研究から、以下の三点が明らかになった。
1.PCIにおけるガイドワイヤ挿入と病変部の拡張を合わせた透視時間は、全体の約50%を占めていたこと。
2.BU及びCタイプの複雑性病変では透視時聞が長時間化する症例が多くなること。
3.中でも特に、中度、重度の石灰化病変、ガイドワイヤ2本誘導の必要のある病変、血栓のある病変、汎発性病変、3ヶ月以上経過した閉塞性病変では、透視時間が長時間化する傾向が強くなることである。これらの病変では、ガイドワイヤ挿入および病変部拡張に要する透視時間が長くなる。
 Bernardiらのシングルセンターにおける研究では、ガイドワイヤ2本誘導の必要のある病変と3ヶ月以上経過した閉塞性病変が、透視時間を長時間化させる重要な因子と位置づけており、我々の結果と一致している。また、透視時聞が上位のBU、Cタイプの症例を500症例以上の経験を有する熟練した医師が施術しても、透視時聞が30分を超過していることから、病変部の複雑性により、ガイドワイヤの操作、病変部の拡張における技術的難易度が高まり、このことが透視時間の長時間化につながったものと考える。
 Cタイプの3ヶ月以上経過した閉塞性病変では、ガイドワイヤの病変通過に多くの透視時間を必要とする。この点で、ガイドワイヤの先端方向を二方向から見ることができるパイプレンによる透視は、シングルプレン透視と比較し有利であり、透視時間の短時間化にも寄与していると調査前には予測していた。しかし、今回の調査からは、パイプレンでの透視時聞がシングルプレンに比べ3分短かったが有意差を認めず、裏付けはできなかった。これは今後、症例を積上げることによってパイプレンの有用性が見出される可能性があると考える。
 PCIは透視像を見ながらの治療手技である。このため、透視像の優劣は、ガイドワイヤ、バルー ン、ステントなどの視認性に影響を及ぼしていることが予想される。さらには、透視時間の長短にも影響を及ぼしているものと考られることから、透視像の視認性と透視時間の関係を調べることも重要と考える。

【結論】
 5施設のPCI、119症例中129病変における透視時間の調査を行った。透視時間を細分化し調査することで、透視時間に影響を及ぼす原因を探求することができた。すなわち、病変形態およびガイドワイヤ、病変部の拡張における技術因子が最も透視時間の長時間化に影響を及ぼす因子と考えられた。



2005.04.09 第19回 全国循環器撮影研究会学術研究発表会 課題研究報告

冠インターベンション時の透視時間に影響をおよぼす因子の調査(第1報)

報告者 : 主任研究員 景山貴洋(千葉県循環器病センター)

【目的】
 冠インターベンション(PCI:Percutaneous Coronary Intevension)は、カテーテル、ガイドワイヤ、バルーンの改良と手技の向上、また、近年では薬剤溶出ステント(DES:Drug Eluting Stent)の普及などによって適応範囲は大きく広がった。一方、長時間におよぶ透視が原因で放射線皮膚障害が発生した事例も報告されている。そこで、PCI時の透視時間に影響をおよぼす因子を検討するため、循環器撮影技術研究会ワーキンググループにて、PCI時の透視時間を調査することとした。
 研究1年目の今回は、その第一歩として、透視時間を構成する因子とその透視時間を調査し報告する。

【考察】
 調査結果から、ガイドワイヤの病変通過と病変部の拡張に要する時間が、PCIにおける透視時間の長短を決定する大きな要因と考えられる。PCIの手技では、ガイドワイヤの病変通過とステントを植え込むまでの病変部の拡張(デバルキング)は必須である。したがって、これらに必要となる透視時間を、少しでも短時間化できるようなアイデアを出していくことが必要と考える。





2005年度 PCl時の透視時聞に影響を及ぼす因子の調査班 活動報告

班 長 : 景山 貴洋(千葉県循環器病センター)
班 員 : 今関 雅晴(千葉県循環器病センター)
      石川 栄二(横浜市立大学附属市民総合医療センター)
      千葉  弘(横浜市立大学附属病院)
      高梨  昇(榊原記念病院)
      佐藤 久弥(昭和大学横浜市北部病院)
      武  俊夫(昭和大学病院)
      大澤 三和(昭和大学病院)
      中澤 靖夫(昭和大学病院)
      塚本 篤子(NTT東日本 関東病院)
      若松  修(NTT東日本 関東病院)

報告者 : 景山 貴洋

 近年、冠動脈インターベンション(PCI)の技術は、薬剤溶出ステントの普及などにより飛躍的な進歩を遂げている。このため、複雑性病変に対しでも適応範囲の広がりを見せている。一方では、長時間の被ぱくが原因で放射線皮膚障害を起す事例も報告されるようになった。そこで、PCI時の透視時間にスポットをあてて、その実態を調査し、透視時間に影響を及ぼす因子を解析する調査班を平成16年に発足させた。また、同年より全国循環器撮影研究会の助成を受けて活動することになった。

 1年目の目標は、透視時間を長時間化させる因子を明らかにすることであった。このため、5施設における透視時間の実態を調査した。この調査で明らかになったことは、ガイドワイヤーの挿入、病変部の拡張およびステント挿入にかかわる時間が透視時間の多くを占めていることであった。これらには、病変形態が強く影響していることが推測された。具体的には、type BU、Cの病変である。これらの結果をまとめて、平成17年開催の全国循環器撮影研究会学術大会で課題研究報告をした。
 さらに2年目では、ガイドワイヤ一、バルーン、ステントの透視時の視認性が透視時間にどのように影響を及ぼしているかを調べることとした。調査前には、治療機材の視認性が低下することで透視時間は長くなると予測した。調査は、PCI後に術者に聞き取り調査した。データを多変量解析したところ、ガイドワイヤ一、ステントマーカー及びステントの視認性が低下すると透視時間は長くなる傾向にあった。この研究内容を平成18年の全国循環器撮影研究会学術大会で報告した。

 1年目の調査からは、病変形態が技術的難易度を左右し、透視時間に影響を及ぼしているといえる。また、2年目の調査では、少なくとも透視像の品質は透視時間に影響を及ぼしていると言えるだろう。
 全国循環器撮影研究会の発表後に、「透視時間の短時間化を優先させるか、被ばく低減を優先させるか?」という重要な質問に対し、研究班として見解を持ち合せていなかったため、その答えに正直言って窮してしまった。ここでは、私見を述べてみる。PCIで合併症を起させず、安全にしかも早く終了するという視点に立てば、透視像の画質を良くし、透視時間の短時間化を図ることほうがよいとも思われる。透視像の画質を良くするためには、線量アップが必要になる。しかし、例えば、被ぱくが放射線皮膚障害を及ぼすようなレベルでなければ、透視時間を短くする方を選択してもよ いとも思われる。その判断をするためにカテーテル室に診療放射線技師がおり、線量管理をしているのだと思う。線量低減を優先させるか、透視時間の短時間化を優先させるか、あるいはどちらでも良いか、という課題に対しては今まで蓄積された研究会のデータベースを活用させ、事例集のようなものを作ってはいかがと思う。なかなか難しいと言われるかもしれないが、もうその時期に来ていると考える。

 最後に、二年間に渡り調査研究にご協力をいただいた研究班員並びに会員の皆様に感謝申し上げます。また、研究の機会をいただきました当研究会の若松会長、そして全国循環器撮影研究会の安永会長に御礼申し上げます。



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送