《内容》
 20年間にわたり循環器画像技術研究会が培ってきた技術をまとめたカテーテルスタッフ必携の書.医療現場で求められている心血管画像検査・治療に必要な知識,臨床技術を網羅.診療放射線技師はもとより,医師,看護師,臨床工学士,臨床検査技師,すべてのカテーテルスタッフに贈る実用的な1冊
《目次》
【情報のとらえ方・生かし方】 【画像技術】 心臓血管撮影におけるディジタル画像 画像の成り立ち 通信技術 定量的冠状動脈造影法(QCA) 【管理技術】 システム管理 被曝管理 【技術情報】 <診断情報> 虚血性心疾患の技術情報 大動脈疾患の技術情報 弁膜疾患の技術情報 先天性心疾患の技術情報 <IVR情報> カテーテルインターベンションの技術情報 カテーテルアブレーションの技術情報 【症例提示によるテクニカルディスカッション(診断)】 冠状動脈心疾患 大動脈疾患 弁膜疾患 先天性心疾患 【症例提示によるテクニカルディスカッション(治療)】 PTCR 冠状動脈形成術 弁形成術 その他のカテーテルインターベンション
好評発売中 (2004年3月1日発売)  6,300円

カテーテルスタッフのための心血管画像学テキスト 循環器画像技術研究会編


 本書は循環器検査・治療分野で活躍する診療放射線技師業務の標準化と質の向上を目指す手引き書として、放射線部で働くレジデントの医師、看護師、臨床工学技士、臨床検査技師にも有用な情報が満載されている。


監修のことば  相澤忠範 ((財)心臓血管研究所付属病院院長)

 循環器画像技術研究会からこのたび出版された「カテーテルスタッフのための心血管画像学テキスト」は,循環器画像診断がアナログからディジタルに急速に進化し,日常の検査において画像処理やデータ管理がリアルタイムに進行するようになった現在,当を得た企画といえる.循環器画像技術研究会は1983年12月,シネ撮影全般にわたり会員相互の情報交換ならびに技術レベルの向上を目的としてシネ撮影研究会として発足し,翌年1月に第1回定例会が開催された.その後,循環器画像技術研究会と改称し,20年間にわたり活発な活動を行ってきた.本研究会の発足時から多少のかかわりを持ってきたが,最新のトピックをテーマとする特別講演と研究発表で構成されており,いつも熱気に満ちた討論がなされ,会場は人があふれる状態である.さらに,ワーキンググループの活動も活発に行われている.

 循環器領域において,画像診断がきわめて重要な検査法であることはいうまでもない.この20年間に,カテーテル室に画期的な変化が生じたことは周知の事実である.シネアンジオ室は,診断のみならず治療の場へと変貌した.また,造影像はもはやゴールドスタンダードとはいえず,血管内超音波,血管内視鏡,圧ワイヤー,フローワイヤー,OCT(optical coherence tomography)などの新しい診断器具も多用されるようになってきた.さらに,非侵襲的に体表面から心疾患を診断する要望が高まり,エコー,MDCT,MRIなどの性能も飛躍的に向上してきており,将来は非侵襲的診断が一般的なスクリーニング検査になる可能性がある.しかし,現在のところ,これらのモダリティがシネアンジオを凌駕するまでには至っておらず,あくまでも基本はシネによる画像診断である.まして,心血管インターベンションを行う際の主役はシネ画像であり,その重要性はますます高まっている.

 本書は,心血管撮影に関する基本的な情報のとらえ方・生かし方のみならず,循環器疾患全般にわたる画像技術,ディジタル画像の基本,データの管理と通信技術,循環器疾患の病態,IVR情報などが詳細に述べられており,臨床経験を理論化,標準化する努力がなされている.さらに,症例検討の項目では,心血管撮影に関するノウハウがほとんど網羅されている.本書は循環器検査・治療分野で活躍する診療放射線技師業務の標準化と質の向上を目指す手引き書として企画されているが,その内容はきわめて豊富であり,心血管インターベンションに携わる医師にもぜひ活用していただきたい内容となっている.カテーテル室はダイナミックに動く場所であり,医師,診療放射線技師,看護師,臨床工学技士および臨床検査技師のチームワークが要求される.IVRが急速に進化を遂げている現在,時期を得た企画を実現された循環器画像技術研究会の幹事の皆様の努力に敬意を表すると同時に,本書が広く活用され循環器画像診断,治療の成績向上に貢献できることを期待する.

 2004年2月


  中澤靖夫 (循環器画像技術研究会会長)

 わが国では食生活の欧米化に伴い心臓病の患者数が年々増加しており,癌に次いで死因の第2位を占めている.このように循環器疾患が増加するにつれ,心臓カテーテル検査・治療を行う施設も増加している.今日行われている心臓カテーテル検査・治療では,高度画像診断機器を用い,ディジタル画像データを駆使して,リアルタイムに計測データを表示し,診断カテーテルやPCI(冠動脈インターベンション)を実施している.周辺医療機器や医療器材の開発・改良も進み,治療成績の向上に大きく寄与している.これらハード面の向上は,検査・治療にかかわる医師,診療放射線技師,看護師,臨床工学技士,臨床検査技師等に対して,「根拠に基づく医療」(Evidence-based Medicine:EBM)とハイレベルの医学知識,臨床技術,臨床技能を要求している.

 本書は,そういった時代の医療ニーズに応えるために,循環器画像技術研究会で20年間培ってきた臨床技術を再度見直し,定例研究会で毎回行っている「症例提示によるテクニカルディスカッション」を中心に研究会の幹事により執筆した.心臓を画像化する技術は,循環器X線装置の性能,ディジタル画像処理装置,ディジタル画像表示装置,サーバー等の記録保管装置に委ねられている側面があるが,最終的に臨床画像を製作するのは医師や診療放射線技師である.したがって,疾患に最適な最大情報量の臨床画像はその疾患を熟知したものでなければ製作できず,その製作に当たっては検査治療の始めからかかわっている必要がある.生きた生体情報を生きたまま画像化する瞬間に,すべての技術が結晶化されるのである.

 心血管画像学の神髄である「症例提示によるテクニカルディスカッション」の章では,「臨床情報」,「病態予測」,「技術計画」,「結果・評価」,「知見・考察」をEBMに基づき,検査前情報,検査中情報,検査後情報を丹念に検討し,詳細に記述している.この考え方の基本は,科学的成果の臨床への応用と臨床経験のことば化を,症例を通じて検証し学問化することである.日常的に経験する臨床事例を「ことば化」,「理論化」することは大変な労力を必要とするが,今後発展する診療放射線学にはなくてはならないプロセスである.

 本書は循環器検査・治療分野で活躍する診療放射線技師業務の標準化と質の向上を目指す手引き書として,また,放射線部で働くレジデントの医師,看護師,臨床工学技士,臨床検査技師にも有用な情報が満載されているので是非活用していただきたい.

 最後に,大変お忙しいなか監修の労を賜りました,(財)心臓血管研究所付属病院院長相澤忠範先生,貴重な画像診断機器装置の写真や技術資料を提供していただいた関連機器メーカの方々に感謝を申し上げます.また,本書の出版にご尽力いただいた医歯薬出版株式会社編集部スタッフに深甚の謝意を表したい.

 2004年2月




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