循環器装置管理の標準化班












循環器撮影実態調査班

2004年4月〜2006年3月 活動終了したワーキンググループです。

名 称 : 循環器撮影実態調査班[第4次実態調査]
班 長 : 間山金太郎 (石心会 狭山病院)
班 員 : 増田 和浩 (埼玉県立小児医療センター)
    : 千葉  弘  (横浜市立大学附属病院)
    : 山下 慎一 (東京慈恵会医科大学附属病院)
    : 藤木 美穂 (昭和大学病院)
    : 塩野谷 純 (石心会 狭山病院)
※前委員 : 佐藤 公一 (新東京病院)
     : 上里 恵美 (昭和大学藤が丘病院)


(活動実績)
◆ 循環器撮影実態調査 : (投稿)循環器画像技術研究
◇ 循環器撮影の実態調査 第1報〜第4報 : (口述発表)第61回 日本放射線技術学会総会学術大会 2005年4月

(活動報告)
◇ 2004年度


(投稿)循環器画像技術研究

第4回 循環器撮影の実態調査(平成16年実施)の報告

全文をダウンロードできます。(pdfファイル・400kB)

間山金太郎(石心会 狭山病院)
増田 和浩(埼玉県立小児医療センター)
千葉  弘 (横浜市立大学附属病院)
山下 慎一(東京慈恵会医科大学附属病院)
藤木 美穂(昭和大学病院)
塩野谷 純(石心会 狭山病院)
佐藤 公一(新東京病院)
上里 恵美(昭和大学横浜市北部病院)

 この報告は、循環器画像技術研究会が平成16年に実施した循環器撮影に関する4回目の全国規模アンケート調査の結果である。
 本結果は平成17年4月開催の第61回日本放射線技術学会総会学術大会にて報告したが、諸事情により論文化が遅れ関連学会誌へ投稿する機を失したので、今後の研究の糧にすべく本研究会誌「循環器画像技術研究」に掲載する。

1.はじめに
 近年,血管造影検査室ではIVR(interventional radiology)を主体とした治療目的の検査が多く施行されており,検査手技や治療方法も変化している.またX線撮影装置のデジタル化や治療機器・材料の発達などもあり,今後もその傾向は続くものと考える.また,心臓カテーテル検査のシネフィルムレス運用や,医療情報システムの普及などによって血管造影検査室の作業環境も大きく様変わりしている.
 今回,循環器画像技術研究会は,5年ごとに実施している全国規模のアンケート調査(4回目)を行い,心臓カテーテル検査を中心とした血管造影検査の実態や作業環境等に関する集計を行ったので報告する.

2.調査方法について
 アンケート調査の対象は、平成10年3月発行の「新医療・医療機器システム白書」に掲載された「血管造影システム設置医療機関名簿」より,心臓カテーテル検査が実施可能と思われる1,019施設とした.

 なお、調査期間は平成15年4月から平成16年3月までの1年間とし,その期間における各施設での検査状況について記載をお願いした.
 おもな設問は以下の通りである.

  1. 施設,装置の実態
    1. 施設の規模(病床数,診療放射線技師数)
    2. 平成15年度の血管造影検査件数(心臓,頭部,腹部,四肢,その他),成人の検査件数,IVR件数.小児の検査件数,IVR件数.外来カテーテル検査件数
    3. 1検査に携わるスタッフ数(診療放射線技師,医師,看護師,臨床検査技師,臨床工学技士)
    4. 夜間休日の検査体制
    5. 装置の概要(稼働台数,稼動年数,定期点検の頻度,撮影方式)
    6. I.I.の管理(使用年数,交換時期)
    7. フラットパネル装置の導入率
    8. シネフィルムを廃止した時期
    9. デジタルデータの保管方法
  2. 撮影条件の実態
    1. 心臓カテーテル検査の撮影および透視条件(管電圧,管電流,タイマ,I.I.サイズ,フレームレート,シーンタイム,造影剤量,フローレート,パルス幅,パルスレート)
    2. 心臓以外のカテーテル検査における撮影条件(管電圧,管電流,タイマ,I.I.サイズ,造影剤量)
    3. 使用造影剤の種類およびヨード含有量
  3. 被ばく防護の実態
    1. 検査時の検査室内入室の実態(診療放射線技師,医師,看護師,臨床検査技師,臨床工学技士)
    2. 検査室内で使用している防護衣および防護具
    3. 1年間の被ばく線量(各職種における最大値)
    4. 医療被ばくの記録
  4. 検査モダリティ,ネットワークシステムの実態
    1. 疾患別の検査の進め方および治療方法
    2. 治療後の検査モダリティとフォローアップの時期
    3. ネットワークシステムの導入率

3.結果
アンケート調査に対し,何らかの回答があった施設は209施設で回収率は20.3%であった.

3-1 施設・検査の実態
3-1-1 診療放射線技師数,病床数と血管造影検査件数の関係
 診療放射線技師数と病床数および血管造影検査件数の関係をFig.1に示す.
 診療放射線技師数と病床数の間にはγ=0.76と高い相関が見られたが,検査件数と病床数の関係はγ=0.20であった.

 調査期間(平成15年4月より平成16年3月)の血管造影検査件数をFig.2に示す.
 各施設における1ヶ月の検査件数は,心カテ以外では1件〜20件,心カテ検査では41件〜60件が最頻値であった.

 心臓カテーテル検査の1か月当たりの検査数の変化をFig.3に示す.前回調査では、月間検査件数1〜20件にピークが見られたが,今回調査では41〜60件でピークとなっており,各施設での心カテの検査件数が増加している.心カテ以外の検査では前回調査との有意差は認められなかった.

 一施設あたりのアンギオ装置保有台数の割合をFig.4に示す.前回と比較し装置を複数台保有する施設が増加していた.

3-1-2 検査に携わるスタッフ数
 検査に携わるスタッフ数の比較をFig.5に示す.一検査あたりの平均スタッフ数は,心臓カテーテル検査および他の血管検査ともすべての職種で減少している.

3-1-3 夜間・休日体制
 血管造影検査に対し,夜間・休日体制を採用している施設数の割合は92.8%であり、前回(91%)前々回(92%)とほぼ等しい結果であった.当直体制をとっている施設は29.3%であり,半数以上の施設(51.5%)でオンコール(呼出し)対応であった.
3-1-4 血管造影検査におけるIVRの件数
 検査部位別のIVR比率をFig.6に示す.心臓,腹部領域では前回と大きな変化は認められなかったが,頭部,四肢領域でIVR比率が増加していた.

3-1-5 装置概要
 FPD(フラットパネルディテクター)の導入率は心臓カテーテル用装置(以下,心カテ装置)で9.56%,頭部腹部用装置で2.54%,共用装置(心カテが可能な頭腹部用装置)で2.32%であった.また,アンギオCTの導入率は26.27%であった.
3-1-6 画像データ保存方法
 心臓カテーテル検査にける画像データの保存メディアをFig.7に示す.64%の施設がCD-Rに記録・保存していた.前回と比較するとCD-R以外のメディアは,全く別の媒体に置き換わっていた.

 シネフィルムを使用している施設は、平成10年度は91%であったが,平成16年4月現在では4%となっている.(Fig.8


3-2 撮影条件
3-2-1 心臓カテーテル検査の撮影角度
 心臓カテーテル検査における右冠動脈造影(以下R-CAG)と左冠動脈造影(以下L-CAG)の撮影角度および撮影回数をFig.9,10に示す.R-CAGの撮影角度は前回調査と大きな変化はみられなかった.L-CAGでは,RAO,LAOの撮影が減少し,LAO+CAU,AP+CRA,AP+CAUが増加していた.


3-2-2 心臓カテーテル検査の撮影回数
ルーチン検査の平均撮影回数はR-CAGが3.67回から3.15回,L-CAGが6.63回から6.01回と前回調査より若干減少傾向にあった.
3-2-3 心臓カテーテル検査の撮影条件
1) 管電圧は前回調査と大きな変化はなく,70〜80kVが主流であった.
2) 管電流についてRAO30°とLAO60°の撮影管電流をFig.11に示す.管電流は高くなる傾向にあり特にLAO60°では,700mA以上での撮影が多くなっていた.

3) パルス幅についてCAGおよびLVGにおけるパルス幅のデータをFig.12に示す.前回調査ではCAG,LVGとも6msec以下が主流であったが,今回調査では6msec以上の施設が最も多くパルス幅は長くなる傾向がみられた.

4) フレームレートについてCAGおよびLVGにおける撮影フレームレートをFig.13に示す.フレームレートはCAGで15 f/sec以下,LVGでは20〜30 f/secが主流となっており,前回調査と比べて低フレームレートへ移行していた.


3-3 被ばく防護
3-3-1 検査時の入室スタッフの実態
 検査時(透視・撮影中)に検査室内に入室しているスタッフの職種とその割合についてFig.14に示す.前回調査に比べ,各職種とも検査室内へ入室する割合は増加していた.

3-3-2 防護衣のタイプ別使用割合
 検査中に使用している防護衣のタイプをエプロン型・コート型に分け、その使用割合をFig.15に示す.各職種ともエプロン型の使用割合が高く,特に診療放射線技師でその傾向が顕著にみられた

3-3-3 室内防護具の使用割合
 検査室内の防護具の使用割合をFig.16に示す.床置き防護衝立・天井吊り下げ式防護衝立・前垂れの使用割合は全てにおいて前回より増加していた.

3-3-4 個人被ばく線量の比較
 Fig.17は各職種における被ばく線量について前回調査と比較したグラフである.若干被ばく線量は減少傾向にあった.


3-4 検査モダリティ・ネットワークシステムの実態
3-4-1 心疾患における検査の進め方
 心疾患が疑われた際に,画像診断をどのような順番で行っているかを調査した結果,まず単純撮影・超音波検査が行われ,その後,血管造影(IVRを含む)を行うケースが多く,陳旧性心筋梗塞の場合は半数の施設で核医学検査が施行されていた.(Fig.18

 治療後は血管造影検査でフォローする施設が大半であり,その時期はIVRの場合,3ヵ月後が38%,6ヶ月後が56%であった.バイパス手術の場合は1ヵ月後の確認造影が最も多く42%であった.また,最近話題となっているMD-CTにて冠動脈を評価する施設は,治療前で4%,治療後で9%であった.(Fig.19

3-4-2 大動脈疾患における検査の進め方
 大動脈疾患が疑われた場合,単純撮影,CT,血管造影の順番で検査が行われ,血管造影を施行せずCTのみ施行する施設も多く見られた.大動脈疾患を疑う場合,CT検査が96%の施設で施行されていた.また治療後もCTでフォローする施設が96%と大半であった.
Fig.20

3-4-3 脳疾患における検査の進め方
 脳疾患が疑われた場合,CT,MRI,血管造影の順番で検査が行われ,脳出血の場合はCTのみでMRIを施行しない施設が多くみられた.
 治療後はCTでフォローし,その後MRIを施行する施設が多く見られたが,脳出血の場合は治療前同様CTのみ施行する施設が大半であった.CTを施行する時期は約半数の施設で1ヵ月後であった.(Fig.21

3-4-4 疾患別治療法
 各施設が疾患別にどのような治療を行っているかを調査した結果をFig.22に示す.IVRと手術を行っている施設,IVRのみ行っている施設,手術のみ行っている施設,検査のみ施行し他院紹介する施設,検査せずに他院紹介する施設に分けて調査した.
 IVRの施行率は先天性心疾患で40%,狭心症・急性心筋梗塞などの心疾患で96%,大動脈疾患で45%,脳疾患で71%,閉塞性動脈硬化症で85%であった.

3-4-5 ネットワークシステム導入率
 ネットワークシステムの導入率について調査した結果をFig.23に示す.
 導入率の高い順に,オーダリングシステム52%,動画ネットワークシステム48%,RIS44%,HIS43%,PACS36%,電子カルテ13%であった.

 前回調査ではオーダリングシステムとPACSの導入率を調査しており,オーダリングシステムが32%,PACSが10%の導入率であった.

4.考察
 アンケートの対象は心カテ検査が実施できると思われる全国すべての施設に配布し,併せてその施設の他の血管造影検査の状況についても調査対象とした.よって,頭部や腹部専用の血管撮影装置のみを有する施設は対象外とした.

4-1 検査の実態について
 病床数および検査件数の関係は,施設の役割や診療科に依存すると思われ,病床数と検査件数との間には強い相関は認められなかった.しかし診療放射線技師数と病床数との間には相関が認められた.
 フラットパネル搭載装置は,一番導入率が高かった心カテ専用装置でも全体の約10%であった.この調査は今回初めて行ったものであり,次回調査で大きく変化すると考える.
 シネフィルムの使用率は2002年から2003年にかけて大きく減少した.これはシネフィルムの診療報酬請求が出来なくなったことに起因するものと考える.

4-2 撮影条件について
 前回調査と比較すると心臓カテーテル検査において撮影回数は減少し,フレームレートは低下していた.これは手技が標準化されてきた事,そして被ばく低減の意識が浸透してきた結果であると考える.
 ただし,パルス幅と管電流で増加傾向がみられるため,今後もしっかりと撮影条件の設定について管理していく必要があると考える.

4-3 被ばく防護について
 前述のように検査に関わる全体のスタッフが減少した反面,検査中に検査室内に入るスタッフ数は増加している.これはそれぞれの職種が積極的に検査に関わり,チームとして効率的な人員配置を意識し,各検査に取り組んでいることを示していると考える.
 また,室内防護具の導入率が前回より向上していることが示す通り,検査室内での業務に対する整備がなされ,その結果として個人被ばく線量の減少という結果につながったと考える.

4-4 検査モダリティ,ネットワークシステムについて
 装置の高性能化によって冠状動脈のCT・MRI検査が可能となってきたが,まだ検査の施行実績は低かった.
 しかし治療後のフォローアップ検査は心疾患では血管造影が第一選択されたものの,大動脈疾患ではCTが,脳疾患ではCT・MRIが第一選択となっており,侵襲度の低い検査モダリティが選択されフォローアップされていた.
 ネットワークシステムはオーダリングシステム・PACSともに前回調査より導入施設が増加しており今後の動向が注目される.

5.まとめ
 当研究会が5年ごとに実施している全国規模のアンケート調査は撮影装置,周辺機器や機材,治療技術の進歩により全国の現状がどのように推移しているかを知るための重要なデータである.本データと各施設の現状を比較検討して今後の運営や装置選定に役立てていただければ幸いである.

6.謝辞
アンケート調査にご協力いただきました全国各施設に深謝申し上げます.また,研究員の活動に特段のご配慮を賜った各施設の技師長はじめスタッフの方々に深く感謝申し上げます.
今回の調査費用の一部は,財団法人横浜総合医学振興財団の助成金を使用させていただきました.

本論文の要旨は,第61回日本放射線技術学会総会学術大会(平成17年4月)において報告した.



2005.04.10 第61回 日本放射線技術学会総会学術大会 報告
(口述4題) 演題区分 : 放射線管理; 管理技術、防護技術、計測技術


(演題1) 循環器撮影の実態調査 第1報 施設・装置の実態

報告者 : 上里恵美 (昭和大学横浜市北部病院)

【はじめに】
 循環器画像技術研究会では、循環器系の撮影・検査について実態を把握するため5年ごと全国規模でアンケート調査を実施している。今回は、5年前に行ったアンケートの追跡調査と、新たに追加した項目の実態を集計分析した。第1報では、施設と装置ついて検討したので報告する。
【方法】
 1019施設を対象とし、アンケートを行い207施設の回答(回収率20.3%)を得た。得られたデータより、以下の項目について集計・分析を行った。
1.施設の規模 2.患者数、検査部位 3.検査数、検査に対応するスタッフ数、夜間休日体制 4.使用装置の概要、パイプレーン装置、フラットパネル装置の導入率、シネフィルムを廃止した時期、デジタルデータの保管方法
【結果と考察】
 ベット数300〜600床の中規模施設でも年間検査数が1000件を超える施設があった。1検査に対応する放射線技師数は1名〜2名で、全スタッフ数の約20%を占めていた。循環器専用装置(心臓、頭腹部)を使用している施設がほとんどだが、共用装置を使用して循環器検査に対応 している施設もあった。フラットパネル搭載装置の導入率は5%であった。パイブレーン装置を導入している施設は全体の30%であったが、実際の検査での使用は左室造影で89%、冠動脈造影で32%であった。シネフィルムを現在も使用している施綾が4%ほどあったが、多くの施設では2002年4月以降にシネフィルムを廃止しており、診療請求が不可能になったことが大きな要因であると推測できた。さらに、各項目に詳細な検討・考察を加え報告する。


(演題2) 循環器撮影の実態調査 第2報 撮影条件の実態

報告者 : 藤木美穂 (昭和大学病院)

【はじめに】
 第1報と同様の目的でアンケートを行い、5年前に行ったアンケートの追跡調査と、新たに追加した項目の実態を集計分析した。第2報では、撮影条件と造影剤の使用状況について検討したので報告する。
【方法】
 第1報と同様の方法でアンケートを行い、得られたデータより以下の項目について集計・分析を行った。
1.心臓カテーテル検査の撮影角度・条件 2.小児心臓カテーテル検査の撮影条件 3.心臓以外のカテーテル検査の条件 4.使用造影剤の種類・ヨード含有量
【結果と考察】
 撮影角度の決定は、医師80%、医師と技師の協議20%で、技師のみで決定する施設はなかった。LVGにパイプレーンを使用する施設は89%、CAGはは32%であった。CAGのルチン撮影回数は、前回調査に比べ減少していた。CAGのフレームレートを15f/sとする施設は増加していた。小児心臓カチーテル検査のフレームレートを30f/sとする施設が約60%であった。撮影角度の決定およびルチン角度は前回調査とあまり変化が見られなかったが、撮影回数、フレームレートは減少傾向にあり、診療に必要とされる画像・画質と被ぱくを検討した結果であると考えられた。後発品の造影剤を使用している施設は、約20%であった。後発品の使用は、診療報酬包括化に伴うものであることが予測され、今後使用が増加すると考えられた。ヨード含有量は、撮影部位により差が見られ、希釈率は施設により様々であった。これは、装置およぴ用途にあわせて造影剤の濃度が検討された結果であると考えられた。


(演題3) 循環器撮影の実態調査 第3報 被ばく、防護の実態

報告者 : 塩野谷純 (石心会 狭山病院)

【はじめに】
 第1報と同様の目的でアンケートを行い、5年前に行ったアンケートの追跡調査と、新たに追加した項目の実態を集計分析した。第3報では、検査中に入室する職種と防護具の種類と個人被ばく線量、被ばく低減への取り組みついて検討したので報告する。
【方法】
 第1報と同様の方法でアンケートを行い、得られたデータより以下の項目について集計・分析を行った。
1. 検査時、撮影室入室スタッフの種類 2.各スタッフの防護具着用状況 3.各検査室内の使用防護具の種類 4.各スタッフの年間被ばく線量と被ぱく低減への工夫
【結果】
 5年前と比べ、各スタッフとも撮影室内への入室割合は増加傾向にあった。心臓領域では、防護具の使用割合に大きな変化はみられなかったが、他の血管検査では医師の水晶体や甲状腺の防護異着用率が増加傾向にあった。検査室内の使用防護異は増加傾向にあった。各スタッフの被ぱく状況、被ばく低滅への取り組みが確認できた。
【考察とまとめ】
 防護具の着用率は5年前と比べ、循環器科以外の医師が増加したことから、医師の被ばくへの意識が高まったと考える。5年前と比べ、各スタッフの被ばくへの関心、診療放射線技師の被ばく防護への更なる取り組みがうかがえた。


(演題4) 循環器撮影の実態調査 第4報 検査モダリティ、ネットワークシステムの実態

報告者 : 山下慎一 (東京慈恵会医科大学附属病院)

【はじめに】
 第1報と同様の目的でアンケートを行い、5年前に行ったアンケートの追跡調査と、新たに追加した項目の実態を集計分析した。第4報では、新たに疾患別検査モダリティと治療後の検査モダリティおよびネットワークシステムの導入状況について検討したので報告する。
【方法】
 アンケートから得られたデータより以下の項目について集計・分析を行った。
1. 疾患別検査モダリティおよび治療方法 2.治療後の検査モダリティとフォローアップの時期 3.ネットワークシステムの導入率
【結果と考察】
 心臓疾患では初診時に単純撮影・超音波検査を施行し、その後血管撮影が行われていた。特に小児では超音波検査を97%の施設で行っていた。被ばくを考慮した結果であると考えられた。また陳旧性心筋梗塞では50%の施設で血管撮影の前に核医学検査を行っていた。治療方法はIVRのみ行う施設が25%であった。治療後の血管撮影の時期は約50%がIVR施行後6ヶ月、バイパス手術後1ヶ月に行っていた。大動脈系ではCTが90%以上で行われ、CTによる3D構築等、機器の進歩によるものと考えられた。脳血管系ではCT・MRI・血管撮影が行われるが、出血の場合MRIを行う施設は40%程度であった。治療後のCT・MRI撮影時期は約50%が手術1ヶ月後に行っていた。全疾患において治療前後でのモダリティに変化は見られなかった。ネットワークシステムの導入率はオーダリングシステムが53%で一番高値を示し、500床以上では74%(5年前20%)であった。PACSは37%で500床以上では42%(5年前20%以下)であった。5年での増加は著しく、<保健医療分野の情報化に向けてのグランドデザイン>が発行された影響が大きいと考えられた。





2004年度 循環器撮影実態調査班 活動報告

委員長 間山金太郎(石心会狭山病院)

 当研究会では、進歩の著しい血管撮影技術の現状把握と、それに対応するための新しい技術構築に取り組むことを目的として、約5年毎(1987年、1992年、1998年)に循環器撮影に関する各種アンケート調査を行ってきた。今回も心臓カテーテル検査を中心に、各部位の血管造影検査も含めた下記調査項目について、アンケート調査を実施した。(2004年6月から8月)

 アンケートは、新医療・医療機器システム白書に掲載された血管撮影装置設置施設1020施設に郵送し、207施設から回答を得た。(回収率20.3%)

アンケート調査内容
1.施設について
  ・施設規模
  ・平成15年度のカテーテル検査およびIVR数
   (心臓・頭部・腹部・四肢・その他)
  ・スタッフ数
  ・装置の概要
2.各カテーテル検査・IVRにおける撮影角度および撮影条件
  ・ルチン検査
  ・IVRにおける撮影方向・撮影角度
  ・撮影条件
  ・造影剤注入量・注入レート・平均透視時間
3.造影剤について
   造影剤の種類・ヨード含有量・希釈割合
4.被ばくについて
  ・検査室内のスタッフ数
  ・使用している防護用具とその鉛当量
  ・平成15年度の最大個人被ばく線量
  ・患者被ばくの記録とその内容
  ・被ばく低減の工夫
5.各循環器疾患に対する画像診断方法・フォローアップモダリテイ
  心疾患・大血管疾患・脳疾患・四肢血管疾患について
  ・疾患が疑われた場合に行う画像診断の順番
  ・各疾患のフォローアップの時期とモダリテイ
6.院内ネットワークについて
  ・放射線部門のネットワーク環境
   (HIS・RIS・PACS・オーダリング・レポーティング・物品管理)
  ・フィルムレス環境
  ・血管撮影部門のネットワーク環境
   (循環器動画システム・3Dワークステーション・他モダリティ画像配信)

 上記アンケート結果を集計・分析し日本放射線技術学会第61回総会学術大会にて4演題の発表を行った。

 循環器撮影の実態調査
  第1報 施設、装置の実態 :上里恵美
 循環器撮影の実態調査
  第2報 撮影条件の実態  :藤木美穂
 循環器撮影の実態調査
  第3報 被ばく、防護の実態 :塩野谷純
 循環器撮影の実態調査
  第4報 検査モダリテイ、ネットワークシステムの実態 : 山下慎一

 現在、アンケート結果と発表内容について、日本放射線技術学会への投稿を目標に文章化の作業中である。

班 長 間山金太郎 (石心会狭山病院)
副班長 増田和浩  (埼玉県立小児医療センター)
班 員 千葉 弘  (横浜市立大学医学部附属病院)
    山下慎一  (東京慈恵会医科大学附属病院)
    上里恵美  (昭和大学横浜市北部病院)
    藤木美穂  (昭和大学病院)
    塩野谷純  (石心会狭山病院)
    佐藤公一  (新東京病院)



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