カテ前情報カテーテル検査中の情報IVUSの仕組みを知ろう体外ペースメーカーの設定









●ロータブレーター Rotablator
 <武俊夫:昭和大学病院>2005.11.26 第220回定例研究会 ショートレクチャー


ロータブレーターの基礎

  • ロータブレーターとは
    Rotablator(PTCRA:Purcutaneous Transluminal Coronary Rotational Atherectomy)は微少のダイアモンド粒子でコーティングされた先端チップ(Burr)とそのBurrを回転させる駆動シャフトから構成され、Burrを15〜19万回転/分で高速回転することにより、アテローム性プラークを切削するNew Deviceある。
  • ロータブレーターの原理
    プラークの切削は、弾性のある組織は圧排されて切削表面から離れることがでるが、弾性のない組織はこの退避ができないため、切除されるという Differential Cutting によって達成される。正常血管や病変深部の動脈の損傷を最小限としつつプラークを選択的に切削しスムースな内腔が得られる。切削して粉砕された微粒子は赤血球より小さく、身体の細網内皮系によって摂取される。

アテレクトミーの役割

ロータブレーターのシステム構成 

カクテルって何?


ロータブレーターの特徴

  • Rotablatorが有効性を示す適応病変
    • 高度石灰化病変
    • POBAでの拡張不能病変
    • 小血管
    • びまん性病変
    • 分岐部病変
    • CTO
    • Rota+Stent
    • 入口部病変
    • 慢性透析患者
  • 病変の性状を変えるRotablator
    石灰化がありバルーンが拡張しない病変に対しRotablatorを使用するが、多くはこれだけでは十分な血管内径が得られず、バルーン拡張、ステント留置が必要となる。Rotablatorを使用する目的はそれだけで治療を完了する事ではなく、バルーン拡張やステント留置できるような病変に変更するのがRotablator使用の目的である。
  • Rotablatorの禁忌
    • ガイドワイヤーが通過できない病変
    • 左室駆出率(EF)が30%以下の患者
    • unprotected LMT病変
    • 血栓性病変
    • 急性心筋梗塞の患者
    • 伏在静脈バイパスグラフト(SVG)の病変
    • 重度の瀰漫性多枝病変のある患者
    • 冠動脈解離を有する患者
    • 冠攣縮(Spasm)を起こしている血管部位が認・められる患者
    • 術中または術後に投与する薬剤に対するアレルギーのある患者

ロータブレーターを行うには

  • 制約(医師、施設)
    血管形成術に熟練し、Rotablator装置の医師研修プログラムに参加した医師。
    原則として、冠動脈再建術及び経皮冠状動脈形成術(PTCA)に十分な経験があり、直ちに心臓外科的処置のできる施設(年間30例以上の冠動脈再建術及び過去年間200例以上の(PTCA)を行っている施設)。

コ・メディカルの役割

  • カテ室内 : 治療前
    • Rotablator関連器具の準備
    • 加圧バック、生食の準備
    • ペーシングカテーテル、ペースメーカーの準 備(RCA、LCXの症例)
    • ワソラン、ニトロール、シグマートの準備
    • 昇圧剤(ノルアドレナリン、ドパミン、ドブタ ミン)の準備
    • IABPの準備
  • カテ室内 : 治療中
    • 切削時間(Ablation Time)を読み、施行医に伝える
      (1回につき30秒以内)
    • 回転数を読み施行医に伝える(低下すると音色が変わる)。
      できれば5000回転以上に低下しない様にする
    • 胸痛出現、心電図変化、血圧変化の観察し、変化があれば切削を中断して時間をおく
    • ACTの計測

合併症、および対処法

  • Slow flow or No flow
    アブレーション中に造影剤を間欠的に注入し血流を確認する。また、血流を確保するため血圧を維持する。回転数の低下や1回のアブレーション時間を最小限にとどめる。回転中に発生する摩擦熱を考慮して手技を進める。
  • Dissection
    アブレーション後、解離が認められた場合、アブレーションを中断しPTCAと同様の基準で判定し対応する(Stent留置など)。Burrのサイズupは禁忌である。
  • Spasm
    通常のPTCAと比較し起こる比率が高い。ニトロ(ミリスロール)やベラパミル(ワソラン)を冠動脈内へ注入し数分間様子を見る。また、遷延するSpasmに対しては、PTCA Balloonにて低拡張する方法もある。
  • A-V block
    特にRCA病変でおこりやすいため、RCA病変のRotablator時には予め、ペースメーカーワイヤーを挿入しておく必要がある。A-V blockが出現した場合は、ペースメーカーによるback up Pacingを設定する。
    除脈となった時はアトロピン0.25mgをIVする。
  • Abrupt Closure
    SpasmおよびSlow flow / No flowを最小限に抑えることでAbrupt Closureも抑えられる。Abrupt Closureが認められた場合、アブレーションを中断しPTCAと同様の基準で判定し対応する。
  • Purforation
    Burrのover sizingおよび屈曲病変にて起こりえる。適性なBurr sizeの決定、屈曲部病変でのGW biasを確認するのにIVUSを併用する。Purforationが認められた場合、アブレーションを中断しPTCAと同様の基準で判定し、対応する。
  • 低血圧
    Rotablator治療中の低血圧はRun-offを悪化 させる点からも、避けなければならない。基 本的には容量負荷により治療する。このため ペースメーカー用静脈シースは8Fとし、ここ より生理食塩水を急速に負荷する。低血圧を 防ぐ意味からも、術前術中ニトログリセリン の点滴は行わない。昇圧剤 (DOA, DOB, NOR) の点滴も必要であれば行う。心臓機能低下例 あるいは、体格の小さい患者では、肺動脈圧 をモニターしながら輸液を行うのが望ましい。 また、必要であればIABPを使用する。

ロータブレーターの利点

  • Rotablatorの利点
    • 血管壁の拡張及び収縮を最小限に留める
    • 血管の気圧性外傷がない
    • あらゆるタイプのプラーク(軟性、繊維性、石灰化)を除去できる
    • 血管内を滑らかにし、血流を改善する

まとめ

  • まとめ
    • 現在、Rotablatorの使用に関しては、厚生省で定められた施設基準があり、年間CABGが30症例、PTCAが200症例以上実施していることが使用の基準となっている。全国では、約250施設で使用されている。
    • 臨床において、Rotablatorを施行する際に生じていた合併症の頻度が、術者の技術の向上にともない、Rotablator導入時に比べ、減少してきている。
    • 問題点の一つは、再狭窄率が他の道具に比べ高いことが報告されているが、これはRotablatorを必要とするような高度石灰化をもつ動脈硬化を伴った冠動脈の状態に原因があるといえる。
    • Rotablatorという道具自体が原理的に血管損傷を与えることも関与いているかもしれないが、Rotablator以外に治療方法がない病変も多い。今後は、Rotablatorにおいて、従来の治療法では解決できない複雑病変に対しての慢性期成績の有効性の研究が待たれるところである。

症例 (LAD)

参考文献


終わりに・・・

Rotablatorに関する詳細は、定例研究会受付で販売中の

カテーテルスタッフのための
心血管画像学テキスト

や循研会誌をご覧ください。





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