下肢エコー検査









●エコー検査でわかること −心臓超音波検査 (基礎編)−
 <阿久津任文:石心会狭山病院>2006.09.16 第228回定例研究会 臨床情報講座


心臓超音波検査では

◇形態学的評価
心臓の形や大きさ
心筋の厚さ
弁の形態
◇新機能評価
EF(左心駆出率)
圧較差の測定(Mモードなど)
◇リアルタイム描出
弁や心筋の動態
異常血流の有無(ドプラ法など)
◇先天性心疾患の評価

  などについて検査を行っている。

心臓超音波検査の適応

  • 心筋梗塞および、それに伴う合併症
  • 僧帽弁逸脱症
  • 大動脈弁狭窄
  • 心膜液貯留
  • 大動脈解離
  • 先天性心疾患

  などの診断および治療効果の判定


本日のテーマ
基本手技や画像の見方を理解し、心臓疾患の診断に役立てる。

【 基礎編 】 基本画像の検査手技と見方
【 臨床編 】 症例提示 ( 心筋梗塞 )

【 基礎編 】 基本画像の検査手技と見方 

基本の断層像
  • 傍胸骨左縁長軸断層像:左室流出路と心尖を結ぶ方向
  • 傍胸骨左縁短軸断層像:長軸に直行する方向
  • 心尖部四腔像(三腔像、二腔像も必要に応じて)

傍胸骨左縁長軸断層像
  • 体を左側臥位にし、プローブを胸骨左縁第3,4肋間からアプローチ
  • 心室中隔と後壁が平行になるよう、なおかつ左室流出路から大動脈弁までを描出
観察ポイント
大動脈・大動脈弁・左心房・僧帽弁・右心室・左心室・心室中隔・左心室後壁
評価ポイント
  • 壁運動異常(心室中隔や左心室後壁)
  • 心腔の肥大、拡大の有無
  • 弁の動態、性状
  • 心筋性状
  • 血栓、腫瘍の有無

傍胸骨左縁短軸断層像
  • 長軸断層像を描出したプローブを時計回りに90°回転させて描出
  • 扇状にプローブを動かし、下記のレベルにて画像を描出
観察レベル
大動脈弁レベル・僧帽弁レベル・乳頭筋レベル・心尖部レベル
観察ポイント
大動脈弁・左心房・右心房・右心室・三尖弁・肺動脈・肺動脈弁
評価ポイント
弁の形態、逆流の程度(大動脈弁、肺動脈弁)
観察ポイント
僧帽弁の前尖と後尖・右心室
評価ポイント
弁の形態、逆流の程度(僧帽弁)
観察ポイント
乳頭筋・左心室・右心室・心室中隔
評価ポイント
左心室の壁厚と壁運動
観察ポイント
左心室・右心室
評価ポイント
左心室の壁運動

心尖部四腔像
  • プローブを心尖部からアプローチ
  • 心臓の四つの心腔を描出
観察ポイント
左心房・左心室・右心房・右心室・三尖弁・僧帽弁・心室中隔
評価ポイント
  • 両心室の壁運動異常の有無
  • 弁の形態と逆流の程度(僧帽弁、三尖弁)
  • 各心腔の大きさ

【 臨床編 】 症例提示(心筋梗塞)

心筋梗塞の特徴的な心エコー所見

上記の3つの所見から心筋梗塞の部位や広がり、さらには心機能評価が可能。
そのため、病態の把握や予後推定の指標として用いられる。


症例 1

症例 1
傍胸骨左縁長軸断層像

所見
  • 心室中隔の中間部より心尖部側で壁運動低下
  • 心室中隔基部と比して心尖部側の壁厚増加の消失や菲薄化
心尖部画像
(こちらの画像は長軸断層像を描出した肋間から一肋間プローブを下げて心尖部側を観察する画像)

所見
  • 心尖部側の壁運動低下
  • 壁運動の低下により、心基部側が収縮した時に心尖部側に内腔が押されて逆収縮がおきることによる内腔の外方突出
傍胸骨左縁短軸断層像〔乳頭筋レベル〕

所見
  • 画面向かって右側の側壁や左側の後壁に比べて上側の前壁の壁運動低下
  • 前壁の菲薄化
心尖部四腔像

所見
  • 心室中隔の壁運動低下
  • 壁厚増加の消失、菲薄化

症例1の所見(まとめ)

◇傍胸骨左縁長軸断層像
心室中隔の中間部より心尖部側で壁運動低下、壁厚増加の消失、壁の菲薄化
◇心尖部画像
心尖部で逆収縮による外方突出
◇傍胸骨左縁短軸断層像
前壁の壁運動低下、壁の菲薄化
◇心尖部四腔像
心室中隔の壁運動低下、壁厚増加の消失、壁の菲薄化

上記より前壁の梗塞が疑われる。


症例 2

症例2
  • 66歳男性
  • 高血圧
  • 慢性心不全
傍胸骨左縁長軸断層像

所見
  • 後壁の基部で壁運動の低下
  • 後壁の基部で壁の菲薄化とエコー輝度の上昇
傍胸骨左縁短軸断層像〔乳頭筋レベル〕

所見
  • 画面向かって下側の下壁から後壁にかけて壁運動の低下
  • 同部のエコー輝度の上昇
心尖部二腔像(カラードプラ有り)

所見
  • 心拡大に伴う2次性の僧帽弁閉鎖不全により、僧帽弁で逆流有り(MR:U〜V°)
    (カラードプラの逆流の大きさによりMRの状態を評価)
Mモード法
(Mモードは横軸を時間軸とし、縦軸に観測点の深さを表示)

所見
  • 後壁の壁運動低下(拡張期と収縮期で変化があまり見られない)

症例2の所見(まとめ)

◇傍胸骨左縁長軸断層像
後壁の基部で壁運動低下、壁の菲薄化、エコー輝度の上昇
◇傍胸骨左縁短軸断層像
下壁〜後壁にかけて壁運動低下、エコー輝度上昇
◇心尖部二腔像(カラードプラ有り)
カラードプラにて僧帽弁に逆流+
◇Mモード
後壁の壁運動低下

上記から下壁〜後壁の梗塞が疑われる。


まとめ

断層像と冠動脈支配
  • 心室中隔、短軸像の前壁 → LADの支配領域
  • 左室後壁の心尖部側、短軸像の側壁 → CXの支配領域
  • 左室後壁の基部、短軸像の後壁や下壁 → RCAの支配領域
    (個人差があるため注意が必要です)




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