心電図U-虚血性心疾患









●心電図検査でわかること −心電図の成り立ちから−
 <千葉弘:横浜市立大学附属病院>2007.02.17 第232回定例研究会 臨床情報講座


刺激伝送系

洞結節で起こった興奮は、一般の心房筋より早い速度で一部左房へ向かう結節間伝導路を通り、比較的にゆっくり伝わる心筋固有筋の興奮とあいまって心房全体を興奮させます(l、r)。
房室結節では、心房からきた興奮の伝達速度は、一旦かなり低下してHIS束につながります。
この時間的おくれは心電図上PQ間として表され、これによって心房と心室の拡張・収縮のリズムが異なり、心房内の血液が十分に心室に送りだすことができます。
以下HIS束、脚、左右脚、プルキンエ線維、心室固有筋へと伝わります。
心室内では、左心室側の心室中隔より右心室中隔へ興奮が起こり、順に、心室中隔より心尖部へ、心尖部より左心室後壁へ、左心室後壁より基部に起こり脱分極が終了します(1→2→3→4)。

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心筋細胞の活動電位と不応期

分極
静止状態にある心筋の細胞内は、外部に対して-80〜-90mVの電位を保っている。
脱分極
心筋の細胞に、一定レベル以上の刺激(電流)を加えると細胞膜の電位が+20〜30mVまで急激に立ち上がる。
再分極
急激に立ち上がった電位が急速に下降し、0mV付近で一旦平坦になり、その後静止状態の電位に戻る。
不能期
刺激により、心筋細胞が興奮すると、その後いくら 強い刺激を加えても反応しない期間。
活動電位
静止状態にある心筋の細胞に、一定レベル以上の刺激を加えたときに発生する電位。

心電図の誘導法 

標準肢誘導
双極誘導(2点間の電位差)
  • 第T誘導・・・右腕と左腕
  • 第U誘導・・・右腕と左下腿
  • 第V誘導・・・左腕と左下腿
後者の電位が前者の電位を上回ったときに電位が + になる。

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増高肢誘導
  • aVR・・・左腕と左下腿をつないだ不関電極と右腕との電位差
  • aVL・・・右腕と左下腿をつないだ不関電極と左腕との電位差
  • aVF・・・右腕と左腕をつないだ不関電極と左足との電位差
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胸部誘導(零電位単極誘導)
右腕・左腕・左下腿を結合させた零位不関電位と前胸壁の一点に置いた関電極との電位差(電極位置における電位を現す)。
  • V1 ・・・胸骨右縁第4肋間
  • V2 ・・・胸骨左縁第4肋間
  • V3 ・・・ V2 と V4 の中点
  • V4 ・・・中鎖骨線第5肋間
  • V5 ・・・前腋窩線第5肋間
  • V6 ・・・中腋窩線第5肋間
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特異的な心電図波形

gothic P

右心房に、容積負荷、圧負荷が加わると右心房拡大が起こります。
右心房が拡大すると左心房より優勢となり、P波の電気軸は下方前方に向かうため、T誘導の電位は小さくなり、U、Vで大きくなります。
P波の高さが0.25mV以上で右房負荷となります。

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僧帽P

左心房が拡大してくると、P波の電気軸は左に傾き、U誘導でのP波の幅が広くなります。
P波の幅が0.11msec以上で左房負荷と診断できます。
高さ幅ともにP波は、二目盛り半、とんがり右房に幅広左房と覚えるといいです。

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移行帯

これは、心臓を下側から見て、どの方向に回転しているかをみています。
移行帯がV3,V4付近にあれば正常とされ、V5、V6にあるときは時計方向回転で、慢性肺疾患、左室肥大、前壁梗塞が考えられ、V1、V2にあるときは反時計方向回転で右心負荷、後壁心筋梗塞などが考えられます。

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危険な不整脈


← 心室細動の心電図波形(12誘導)
心室頻拍の心電図(肢誘導/胸部誘導) →
 

完全房室ブロック

補充調律が房室結節であるもは、心拍数は40〜50を示し、QRS幅が狭く、HIS束より上部でブロックであることを示します。
補充調律が心室固有にあるもは、心拍数は40以下となり、QRS幅は広く、HIS束より下部のブロックであることを示します。

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参考・引用




循環器撮影研究会循環器画像研究会循環器技術研究会循環器研究会循環器撮影技術学会心血管画像研究会循研CITEC

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