胸部X線写真でわかることT









●胸部X線写真でわかること-U 〜心不全を中心に
 <石川栄二:横浜市立大学附属市民総合医療センター>2007.7.21 第237回定例研究会 臨床情報講座


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胸部X線写真の位置付け

循環器医師と放射線技師の違い

引用 永井良三『循環器研修医ノート』診断と治療社

胸部X線写真の読みかた

循環器限定の読みかた

図引用 永井良三『循環器研修医ノート』診断と治療社

<例>
右第2弓が突出した陰影があった場合、誰でも突出の程度には気付く事ができる。

しかし読影するには、それが右心房の陰影なのか上行大動脈が蛇行した陰影なのか常に、解剖と対比して考えることが重要。


心不全の読みかた

心不全の種類(病態分類)
  • 低心拍出性心不全と高心拍出性心不全
  • 急性心不全と慢性心不全
  • 左心不全と右心不全
  • 後方不全と前方不全
  • 収縮不全と拡張不全
急性心筋梗塞による心不全は・・・?
心筋梗塞で急速に左心機能障害が起きた場合。

急性心不全であり心拍出が低下するので低心拍出性心不全。

左心不全でもあり左室より先の臓器の還流低下を呈する前方不全で収縮不全ともなる。
一般的な心拡大は、@左4弓→A左3弓→B左2弓→C右2弓の順で拡大して見られるようになることが多いため、患者の状態がこの4段階のどの段階にあるのかを想像する。

〔例〕左心不全
@左室機能不全により、左室拡大をきたし、左4弓が突出する。
A左室圧の上昇は左房圧の上昇をもたらし、左房拡大をきたし、左3弓が突出する。左房圧の上昇は、肺静脈圧の上昇をもたらし、肺野にうっ血の所見が出現する(肺血流の再分布が見られる)。
B肺静脈圧の上昇が、肺動脈圧の上昇をもたらし、左2弓が突出する。

〔例〕右心不全C肺動脈圧の上昇は、右室負荷となり、右房拡大をもたらし、右2弓が突出する。

【注意】左室拡大を伴わない右室拡大は、左4弓の凸の突出として認められるが(心尖部がもち上がる所見)日常多く認められるものは・左心不全に右心不全を合併したものであり、左室拡大が、X線写真上、前面に出る。

弁膜症や心筋症のPtでは、慢性心不全となり長期に渡ってずっと心胸郭比CTRは正常値をオーバーしている。

そうした場合、常に正常値を超えているが、前回と比べてどうなっているか時系列で読むことが重要である。
心胸郭比CTRが拡大しているとき、左心系の拡大か、右心系の拡大かを読むのに側面像が役立つときがある。
図引用 循環器画像技術研究会『カテーテルスタッフのための心血管画像学テキスト 』医歯薬出版

図引用 永井良三『循環器研修医ノート』診断と治療社
左心房は心臓の最も背側に位置し、気管分岐部に接している。すぐ後ろには下行大動脈がある。
  • 左心房が拡大すると気管分岐部のフィルムの角度が開く。これは、以前の写真と比較することで変化をより読みやすくなる。
  • 右心房側へ拡大した左心房の辺縁である二重陰影(Double shadow)が 右心房の陰影の中に見えるようになる。
  • 下行大動脈を左側に偏位させる。
図引用 永井良三『循環器研修医ノート』診断と治療社
肺動脈の拡大所見は、心不全の経過を観察するときや、肺動脈血栓症を疑うときに参考となる
図引用 永井良三『循環器研修医ノート』診断と治療社
コップに水を入れて、ガラス面と水の境界をよく見ると少し水がガラス面を上昇しているのがわかります。
これは、表面張力、液体の密度、壁面のぬれ易さなどに関係しているらしい。

通常、胸水の検出には側臥位撮影が有用であるが、ICUなどで毎日、撮影される臥位正面の写真でも、以前の写真と比較して読むことで少量の胸水を読み取ることが出来る
図引用 永井良三『循環器研修医ノート』診断と治療社
図引用 永井良三『循環器研修医ノート』診断と治療社

その他を読む

◆腫瘍
心臓や血管に注意が行き過ぎて、肺がんの発見が遅れることがあるので注意が必要。
◆稀な症例
奇形(下大静脈欠損症など)、心奇形、石灰化(大動脈炎)、無名動脈の蛇行なども観察される。

症例

同じ写真を並べました。左のシェーマを参考に右の写真を読んで見ましょう。


Q & A

Q1.胸部X線写真で診断(示唆)されうる心血管系の疾患は?

Q2.胸部X線写真で診断(示唆)が難しい心血管系の疾患は?

Q3.成人の胸部X線写真で最も多い心血管系の所見は?

Q4.成人患者の胸部X線写真で最も多い後天性弁膜疾患は?またその所見は?


参考文献



循環器撮影研究会循環器画像研究会循環器技術研究会循環器研究会循環器撮影技術学会心血管画像研究会循研CITEC

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